夜中の三時、ツアー会社 HODAKAの前に集合する。目的はウユニ塩湖で星空を見ること。町中から見える星はすでに美しい。塩湖で見る星空はどんな景色なんだろうか。
町を出発してから約一時間。水がほどよく張った場所に到着する。車内からは満天の星が見え、塩湖に降り立った自分がどんな気持ちになるのか想像できなかった。
実際に車から降りると、足を踏み入れた場所から宇宙が広がっているようだった。
自分自身が満天の星たちで囲まれている景色を想像できるだろうか。まるで宇宙にいるような、そんな不思議な感覚になった。今まで何度も何度も見た、ウユニ塩湖の星空の写真。その世界はわたしの目に平面的にうつっていたようだ。実際に来ると、こんな感覚になるなんて思いもしなかった。
みんなが一斉にカメラをセットする中、わたしも三脚にカメラをセットした。暗くて見えないだろうと、あらかじめカメラの設定をしていたのに、目の前の世界は一向に映らない。どうしようと嘆いていると、ガイドのアルベルトが日本語のカメラを器用に操作してくれた。彼のセットが終わり、はじめて星空が映ったときには感動どころではなかった。一度設定するとそれからは少し設定を変えるだけで撮ることができた。この時のガイドのアルベルトには感謝してもしきれない。本当にありがとう。
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しばらく写真を撮り続けたが、この景色を写真に収めたいとただただ思っていた自分の気持ちがだんだん変わっているのに気づいた。目の前に大きくあった天の川がだんだん形を変えて上に登っている。地球が動いているのだと実感すると、この場所にいれること自体がとても贅沢に感じられた。そして、夜の雰囲気やわずかな風の音に耳をすませていると、ただこの時間を、この空気をここで感じていたいと思うようになった。
このツアーの総時間は約5時間。これだけの時間があったのに、帰ってきてから写真を見るとおもいのほか少なかった。きっとその場の雰囲気を感じたい自分の気持ちが勝ったのだと思った。そのときのわたしにとっては、写真よりも貴重な時間の過ごし方が出来た気がした。
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今回、タイトルをどうしようかと考えた際、“宇宙からのギフト”なんて少し大げさすぎるという気がした。けれど、この場所にいたときのことを今の自分が思い出すと、実際に行ったわたしでさえ想像できないほどの空間が広がっていた気がした。決して写真で見ただけでは、人から聞いただけではわからない世界。自然が好きで、いつも自然が創りだす世界は人間の創るものにはかなわないと思っていた。けれどそんな“自然”という言葉でさえ到底足らないような世界な気がした。もちろん、ウユニだけがそんな場所ではないだろうし、他にも素敵な場所があるだろう。
けれど、この時のわたしにとってはまるで魔法にかけられたみたいに、宇宙からギフトを与えてくれたような気がしたのだ。今までの人生で、“こんなことが起こるの?”というような幸運が舞い降りた時、魔法があるならこんな瞬間だろうと思った。そういった自分自身や人の体験を聞いては、人生というのはわからないものだと思ってきたけれど、世界にはそんな風に思わせる場所があるのだと思うと、自分の可能性ももっと信じたくなった。