宿泊場所に上海駅を選んだのは覚えやすかったから。
たったの二泊三日の旅で毎度自分がどこにいるのか迷っていたら迷子になってしまう。
一人旅を何度かして方向感覚や地図の見方は慣れてきたけど、短い期間でわかりやすく便利な場所を選ぶのは自分が今いる場所を把握できるからだと思う。
今自分がどこにいて何がしたいのかわからないとき、自分の現時点も見失っている気がする。
よく旅と人生は例えられるけれど、どこか迷いがあるときはカフェでメニューを選ぶときですら迷うことが多い。逆に、なんの核心がなくとも自信があったり、ビジョンがはっきりしているときは即決できたりする。
心の中は目には見えないけれど、顔の表情や健康に反映され見えるようにすべてが繋がっていると感じる。
上海の初日にお気に入りなったフランス租界。
駅の周辺をぐるっと一周。
見つけたお店は星があるお店。入るのをためらい、諦めてしまったけれど、車道の反対側から見てもおしゃれな雰囲気が漂っていた。
こうしていくつかの印象に残る道中は、面白くない観光名所よりふとした瞬間思い出すことが多い。
実際、旅の景色はいつも心とリンクしている。
つまらないことばかり頭に浮かんでいる日は空も暗く見えるし、その場所自体がつまらなく感じたり。特にこんな夜の街を歩いている時は尚更だ。
人はその物事自体を見ているようで
実際は自分の心情を映している。
少し、お疲れ気味だったこの頃の旅は、そんな自分を改めて自覚した気がした。
ホテルを出て、またホテルへ戻る。
久々の旅という非日常の中で、必ず同じ場所へ戻るという、ただそれだけの感覚を取り戻せたのは、当時の私にはとても大きなことだった。
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