初日見た上海のシンボルは晴れた空にとても似合っていた。
どんな街にもかならずと言っていいほどシンボル的なものがある。
人はなぜそういったものに惹かれるのだろう。
初日とは違い、最終日に言った外灘ではときおり雨が降っていた。 暗い空を見ながら、初日に見た晴れた空を思い出す。
上海に来てから一度も自分の写真を撮っていないことに気がつき、近くにいた女性に撮ってもらった。
“上海に来ました。”
後ろに上海タワーがあるだけでそこにいるのがわかる。
あるだけで嬉しくなるもの。
特に特別な何かがあるわけではないのに、大半の人を魅了するもの。
それが目印となり、みんなの視点を一斉に集めてくれるもの。
シンボルとはそんな何気ないようで、そこにあるのが当たりまえのように感じるものだ。
けれど実際はそこに当たり前にあるようで、自然災害によって壊れることもあるし、普遍的なようで、実際には移ろうものだと思う。
この上海タワーはつくられてからそれほど経っていないにも関わらず、十分にシンボルとなって、わたしたちを魅了した。
その後向かった田子坊では昔の街並みが再現されていた。
実際、下町に行けばこういった雰囲気の場所が残っているのだろうけど、私が歩いた上海はかなりの都会で、西塘へ行くバスの車窓からですらあまり見かけなかった。
昔の街並みを再現されたこの場所も今の上海もどちらも大勢の人で賑わっていた。
結局、成長もしたいし、新しく進化もしていきたいけれど昔の思い出も大切にしたいんだろう。
何年か前、おばあちゃんに言われた一言を思い出す。
あやちゃん、こうやってたくさんいい経験を積み重ねていきなさいね。この歳になった時に、そういう思い出が多いほど幸せだよ。
昔のものを残したい、再現したいという気持ちは
誰かの心を表す結果なのかと思った。
そんなここで見た街のシンボルと昔の風景が昔訪れた頃の自分と今の自分と重なった気がした。
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