ホテルで一息ついたあと早速街へ出かけた。歩き出した途端いきなり雨が降り始めた。
これがスコール?意外と小ぶりだな。
そう思っていると、すぐに大ぶりになってきた。さすがに傘なしでは歩けないとふと道路を見てみると、原付に乗っている人たちが一斉にカラフルなレインコートを着始めた。スコールは1時間ほどと聞いていたので、目の前にあったカフェで一休みすることにした。
慌てて選んだわりにはオシャレなカフェに入ることができた。白い壁に茶系のインテリアでそろえたおしゃれな店内にうきうきした。英語があっさり通じ会計まで終えると、注文したものはテーブルまで持ってきてくれると言う。言われるまま2階の座席へ行くと、先ほどの1階の雰囲気はどこへやら。真っ白な空間に大きな窓がある、どちらかと言えば寂しい雰囲気が広がっていた。
1階は注文をするだけの場所なのに2階はお金をかけていないのかな?
これもベトナムの面白いところかも?
そんな風に思いながら持ってきてくれたカフェラテを飲んでいると、どうやら3階もあることに気がついた。
3階に行くと、これまた2階の雰囲気がさらに不思議に思えてならないほどとてもおしゃれな空間が広がっていた。端っこで売られているおしゃれな雑貨やTシャツ、すべてがカフェの装飾のようになっている。ここまで極端なのはどうしてだろう…まだ完成していないのかな?
結局疑問に思ったまま気にせずここで休憩することにした。
窓のほうに目を向けると、カラフルさが増した列が交差点を行き来している。 それにしてもここに来るまでの10分ほどの間に何度原付に轢かれかけたことか。青信号を渡っていても、右折する原付や車に轢かれそうになる。日本のように停まってはくれない。
また歩道を歩いていても轢かれそうになる。大きな道からいきなり角度を変えて急に歩道にやってくるのだ。どうりで歩道に原付がたくさん停まっているわけだ。道路からいきなり来るかもしれないからと正面をしっかり見ながら歩いていると、次はわき道からいきなり原付がやってくる。まさか横から結構な速さでやってくるなんて思わないからかなり油断した。
どこに目線を合わせたらいいのか… とにかく気を付けるしかない。 ここに来てから原付を観察したいなんて思っていたけれど、それは止まっているときか、車内からだけにしよう…歩いているときは原付に轢かれないよう、本当に注意しなくてはならなかった。
そんな風に思いながら外を眺めているとレインコートを着ている人が減っていることに気が付いた。
もう雨は止んでいるのかもしれない。 外に出てみると、予想は外れ、むしろさっきよりもひどくなっている。さすがにまたカフェに入る気にはなれず雨宿りをしながら原付を観察することにした。
一人乗り、二人乗り、三人乗り… お母さんと子供三人の四人乗りもいた。一番前は上から二番目に大きい子供がちょこんと乗っている。その後ろにはお母さん、続いてその後ろに一番小さい子供、一番後ろには一番大きな子供が乗っていた。うまいことみんなつかまっているが、落ちないのかどうか、見ているこちらが心配になる。
犬と人が乗っているときは犬が前に乗り、二本足で立っていた。なんともシュールな姿に思わず笑ってしまった。
バイクタクシーとして利用している女性は、男性ドライバーの腰の後ろにかばんをはさんで乗車していた。なるほどと思いながら見ていると、わたしが見る限り女性ドライバーは見かけなかったので男性ドライバーが多いのかもしれない。 首が座ったばかりと思われる小さな赤ちゃんは抱っこされながら乗っていた。さすがにドライバーが赤ちゃんを抱っこしている姿は見なかったので三人乗りだ。けれどドライバーが赤ちゃんを抱っこしながら運転することも、もしかしたらありえそうだな…なんて思った。
次第に三人乗りはもう当たり前の光景になり、何も不思議に思わなくなる。 お母さんが一番前、子供は真ん中で一番後ろがお父さんという組み合わせもよく見かけた。
信号が赤に変わると原付は一番前に大集合。青に変わった途端原付が一斉に走り出すので、さきほど青信号でひやっとしたのも納得した。 雨は一向に止む気配はなかったがこうやって観察しているだけでも、この街のことがなんとなくわかってきた気がした。
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