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執筆者の写真Ayako

カタール ドーハ


薄暗い中到着したドーハはまだ街が動き出す少し前で、

男性たちはすでに工事現場に集まり、なにやら話をしていた。

何を話しているのかわからないこと自体に不安を覚え、その場はすぐに去ったものの、

どこか不安な気持ちを抱きながら旅が始まるのは、結局のところ毎度のことだと頭の中をめぐらせた。

そこら中に工事現場を見かけるのはまだまだこの国の勢いが止まらないことを連想させる。

薄暗い朝に濃い霧がかかる様子はより独特な雰囲気を漂わせた。


観光地でもあり現地の人々が集まるスークでさえまだ人はまばらだった。

やっとのことで見つけたカフェはヨーロッパではどこでもありそうなお店で、

けれどさすがに飛行機に乗って10時間経った今ではこれ以上歩く気にもなれずそのまま腰をおろした。




ここに来るまでのたった数十分歩いた道を思いかえす。

海辺には船があり、イスラム調の建物が並ぶ。

自分が想像していたよりもはるかに都会で裕福な国だと一目でわかる。

キレイに清掃された道も

きちんと先まで見えるコンクリートの道も

そのどれもがカタールの現在を象徴していた。








いつから中東にこんなにも興味を持ったのだろう。

不思議と昔から惹かれていた。

日本ではニュースでしか見ないイスラム教の世界も

不思議な形をした近代的なビルも

そのどれもを自分の目で確かめたかったのだろう

ここ最近外国にやってきました。というような緊張感はなくなってしまった。

けれども宗教や文化に慣れていないこと自体は自分の気持ちをしゃんとさせるには十分だった。

郷に入れば郷に従え。

旅先で何をするかは年々考えなくなったが、その国で失礼のないようにするにはどうしたらいいだろうと考える時間は以前よりも長くなった。

なじみのない宗教も歴史も文化もそのどれもがその国をつくっている。

いくら自分になじみがなくても、もしたとえ納得のいかないことであっても、

自らその国に行く意思を持ったからには尊重したいと自然に思うようになった。





視界に映る人達の姿、匂いや音。

初めてのものが多く、流れている時間を感じるだけであっという間に過ぎていく。 ここはやっぱり異国だ。 いつものようになんとなく目に映るものを追っているうちに海外へ来たという実感がわいてきた。 この国で何に出会えるんだろう。 緊張感は徐々になくなり、わくわくへと変わっていった。


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