車窓から見える湖。
はじめて見る琵琶湖は青々として想像以上に美しかった。
生きている以上絶え間なく息をしている。
けれど知らない間に窮屈な思いにかられ
息をするのを忘れるほど胸が痛くなるときがある。
体も肺も頭も心もきゅっとなり
自分を解放できなくなってしまうのだ。
夏の大きな雲に青い空。
遠くに見えるのは琵琶湖で泳ぐ人々。
その手前には田んぼが見える。
昔、小学校の周りにあったよりもずっと大きい。どこまでも続いていると錯覚するような広大な場所だ。
電車やバスでそんな光景をひたすら眺めているだけで
いつのまにか自分が解放されていくことに気付いた。
ふっと心が解放される場所がわたしにとって息ができる場所なのだろう。
日常で縮こまった感性が解き放たれていく。
言いたかった感情を言葉にするというのは、案外難しい。
頭の中では唱えられるのに、
実際言葉にできないもどかしい気持ちは自分を解放できていないからだろう。
今まで長時間の移動が苦ではないことに気付いていたが、そんな時間を過ごしながらひたすら窓の外を眺め、流れる時間に身を任せることが自分を解放する大切な時間になっていたのだ。
遠くを延々眺めていたら、空の青も田んぼの緑もそのどれもがわたしの心を癒していた。
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