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執筆者の写真Ayako

会いたい人には会いに行く。


ちょうど台風で家の瓦が吹っ飛んだころ、

頭の中は愛媛のことでいっぱいだった。

“今週末は愛媛に行く予定なのに…なんだか大変なことになった。断ろうかな。”

一度はそう思い、友達に連絡を入れたものの、心の中は行きたい気持ちでいっぱい。

“瓦が飛んだだけなんやから、行ってきなさい。” 家の前は飛んだ瓦がまだまだ落ちている。 道路には他にも台風で飛ばされたものがたくさんある。 風が強くて外に出れない。 テレビもツイッターも気持ち悪くてだんだん見ていられなくなった。 地震と違って予想ができることなのに、何もできないなんて。 考えただけで気持ちが悪くなってしまったけれど、結局わたしは母の一言で愛媛に行くことになった。

一ヶ月以上前から計画していた友達に会いにいく旅行。 愛媛県へ行くのは今回が二度目だ。 不思議なことに違う友達ではあるが、一度目も友達に会いに愛媛へ行った。

災害などがあるたびに思うけれど、会いたい人には会いに行ったほうがいいし、 連絡を取りたい人には思い浮かんだときに連絡したほうがいいと思う。

今回も色々と気になることはあったけれどやっぱり行ってよかったと思った。



新しくなったオレンジフェリー。南港に着いたのは仕事終わりに向かった夜の20時頃だった。 大部屋がなくなり、全員個室になったフェリーはとても心地よかった。 たまたま持ってきていた見城徹著『読書という荒野』には愛媛出身の夏目漱石のことが書かれていた。なんだかおもしろい偶然だなと思いながら、その日は早めに寝ることにした。


まだ早朝の5時半頃、船内は急に慌ただしくなる。もうすぐ到着するのでアナウンスがひっきりなしに流れてくる。まだまだ眠りたかったけれど、慣れないフェリーでは早く用意したほうがいいと思い、起きることにした。

午前7時。フェリーに乗っていてもいいギリギリの時間まで船内に残り、迎えにきてくれたさよちゃんと会うことになった。

さよちゃんは年下だけれど、すぐに気が合った。 “今治は造船の町なんだよ。”と車に乗った途端案内してくれる。 船を降りたあとは造船工場がたくさん見えた。大阪とは違う田舎の風景に朝から癒される。曇り空もなんだか心地よかった。

朝7時に愛媛にいるのがなんだか不思議に感じる。 まだ時間が早いため、さよちゃんと娘ちゃんの三人で散歩したあと、朝食を食べに行った。

二人で積もり積もった話をする。何度も話したいことがかぶる。色んな裏話を聞いたりタメになる話を聞いたり。 やっぱり会わなければわからないことがあるものだと思った。




さよちゃんと会うのは今回が初めてだ。 ブログはずっと読んでいたけれど私よりも若いのに三人も子育て中でブログもたくさん書いていて、仕事もしていて、とにかくすごいの一言だった。会った瞬間そのパワーが感じられた。


photo by さよちゃん


photo by さよちゃん

今治タオル美術館。

しまなみ海道の橋が見えるレストラン。 おいしい塩アイスに、海辺の散歩。

その間もひたすら喋る。 愛媛に来たというより喋りに来たと言う感じだ。 気が合うというのはこういうことなのかなと思った。





朝7時に会ってから12時間弱。まだ小さい娘ちゃんと一緒に長い間付き合ってくれた。帰りはもともと伊丹着の飛行機を予約していたので松山空港でバイバイ。 あっというまの一日だった。

観光というより、大阪で友達と会うようなそんな感覚だった。


photo by さよちゃん


photo by さよちゃん

帰り道の飛行機は伊丹空港が混んでいて上空待機だった。 窓から見える夜景は相変わらず美しい。 この日はまだまだ停電している場所が残っていた。上空から見る大阪はそんなことを忘れさせるほどキラキラしていたけれど、実際は停電しているところはたくさんあった。

北海道のことと言い、関西のことと言い。 もう何個例を挙げたらいいのかきりがないほど、この10年での自然災害は数えきれないほど多い。 阪神大震災が一番大きな地震だとあの頃は間違いなく思っていた。 それが色々な場所で災害が起こり、自分自身コントロールできないことがたくさんあるのだと実感している。

会いたい人には会いに行く。 行きたい場所には行く。 連絡を取りたい人にはいつでもとっておく。

このSNSの時代、常に繋がっていると思いがちだけれど 直接知らなければわからないことはたくさんあるんだ。




自分ではどうしようもできないことがあるということを心の底から実感した今回の台風。 ただ流されるわけではなく、逆らうわけでもなく けれど自分をしっかり持ったまま自然の流れにのっていきたい。 そんなことを感じた。

今回こんなタイミングで会ったのもそんな気持ちにさせてくれるいい機会だったな。

何に対しても意味を持たせなくてもいいとは思うけれど、

そう思わずにはいられない愛媛への旅だった。


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