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執筆者の写真Ayako

好きな理由をうまく言葉にできたなら


とても好きなのにうまく言えないことって多い。嫌いなことはあれが嫌、これが嫌だとわりとはっきり言えるのに、魅力的に感れば感じるほどうまく言葉にできない気がする。

説明すればするほど違う方向へ行くというか、嘘っぽいというか。 そんな複雑なことが言いたかったわけじゃなかった。 そんな答えにたどり着く気がする。 それほど好きという要素は一つの言葉で言い表せるほど簡単な気持ちではないのかもしれない。


旅先で感じることもそれに近い。お気に入りの場所ができればそれ相応の理由があるはずだけどなんだかうまく言えない。 けれど、「どこへ行くかよりも誰と行くかが大切だ。」と言うくらいだから、実際この好きという気持ちにはたくさんのことが影響しているんだろう。

マルタのどこが気に入ったかと言われるとまさにこの通りうまく言えないのだ。 街も人も海もどれをとっても素敵で。 あまり観光地化されていない感じも親しみを感じるし、照り付ける太陽でさえ蜂蜜色でそろった街並みには必要だと感じる。この真っ青な空と強い太陽。日本とは違うカラッとした暑さが好きになるほどすべてがマッチしていた。 海賊が襲ってきたなんて聞くと当時はとても怖かっただろうけど、昔から船や海賊にとても興味があるから逆にわくわくしてしまった。


ゴゾ島で訪れたチタデルはそんな海賊が来た時のための城塞で、まさに迷路の世界だった。 写真を撮るには絶好のスポットだが、当時の人たちは自国を守るために必死だったのだろう。それが観光として訪れたわたしでさえわかるほど複雑な場所だった。いきなり道がふさがっていたり、ちょっとした小道がいきなり出現したり。小さな入り口もあるような、そんな場所だった。







歴史が好きで自然と頭の中には“昔はどういう気持ちでここを造ったんだろう。”とか“この場所は今のマルタにどういう影響を及ぼしているんだろう?”とかそんなことをつい考えては想いをはせてしまう。

たまたまテレビで見たマルタ騎士団もいつもは全く興味を持たないのに、この国の歴史を作る一つの要素だと感じると関心を持たずにはいられなくなる。 そんなとき、薄っぺらいと思うような上辺だけの知識でさえも、ただ何も知らず観光地を歩きまわり、見るだけで終わるよりはなんとなくその国を知れた気になるから不思議だ。

今までほんのちょっとしたことがきっかけで色んなことを好きになった。 好きになるきっかけはどこに転がっているのかまるでわからない。 未だにやっぱりマルタを好きな理由を述べなさいと言われても答えられないが、 こういう気持ちがどんどん増し、言葉にできない想いが多いものほどわたしにとっては魅力的であり、より深く知りたくなる場所になるんだろう。


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