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執筆者の写真Ayako

海岸沿いを歩く


マルタの首都であるバレッタを対岸のスリーマから眺める。

憧れた景色が目の前にある。 自分が今まで写真やテレビでしか見ていなかった景色を実際に目にすることは何度経験してもやっぱり感動するものだ。


世界遺産なのに、有名な観光地なのに意外としょぼかったなんて話はたまに耳にするけれど 景色やもの自体のすごさ、美しさよりも、それまでに思い描いていた情景が深いほどその感動は大きくなる気がする。 いつも初めての土地に来たら街をひたすら歩いて、とにかく歩いて頭の中に地図を作ることにしている。 バス停はここにある、スーパーはここ、美味しいご飯屋さんはこの辺にありそう。 そうやってなんとなく頭の中に入れていく作業が好きだ。ガイドブックだけでは、すでにある地図だけではわからない面白さがあると思うし、後々意外なところで役に立ったりもする。






“着く前からすでに頭の中に方向感覚が入っているあたりがわたしと違いすぎる。” いつも適当で、感覚だけでどうにかしようとするわたしも、今回は母がいるというだけでかなり地に足がついた旅をすることができた。母は毎度旅をする前から熱心に地図をよく見ている。実際一緒に旅してみると、何もしていないわたしとこうも違うのかと実感した。

マルタに到着したのはもうお昼をだいぶ過ぎていた。海岸沿いにはビーチでゆっくりする人、ランニングをする人がたくさんいた。 治安がいいゆったりとした国。 歩いた空気からもわかるこの穏やかさ。マルタは噂通りの場所だった。







旅の情報はガイドブックからもインターネットからもたくさん手に入れることができる。その中の気になることの一つが治安ではないだろうか。 この国は危ない。 ひったくりに注意。 この観光地ではこういった手口で〇〇…

挙げたらきりがないが、こういった情報はいつも頭の片隅に必ずいれている。旅の途中悲しいことが起こらないように、楽しい旅で終わりますようにと願いながら。 けれどそればかり気にして旅がつまらないものにならないように、現地に行ってからは自分が目にした、感じた感覚というのは必ず大切にしている。旅をするのは自分自身だから結局は自分の感覚を信じるしか方法はないと思っているから。

マルタは治安が良いという情報しか見なかったが、実際感じた空気も初めに聞いていた情報そのものだった。年々観光客が増えているらしいのでこの空気感がいつまで続くのかはわからないけれど、旅の思い出はこういう感覚的なものも大いに残ってくるから、これからどんどん人が押し寄せてもこの穏やかな雰囲気はそのままに残ってほしいなと思った。


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