一本の道をひたすら歩く。
森を抜けるとだんだん先が見えてくる。 落石岬のこの海が見える瞬間が好きだ。
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ここへ来るのは三度目。 一度目は進入禁止の看板が目に留まり入れなかった。
二度目は予想外にもその一年後だった。根室の春国岱をガイドしてくれた方が時間があまったからと親切にもどこへ行きたい?と聞いてくれたのだ。
近くまで行ったけれど入れなかった落石岬へ行きたい。
そう告げると、もちろん!!と当然のように連れて行ってくれた。
一年ぶりの落石岬の駐車場には相変わらず進入禁止の看板があった。 やっぱり入れないか…そう諦めた瞬間、ガイドさんは何の躊躇もなく入っていった。 進入禁止というのは車で入ってはいけないだけで、人が入る分にはなんの問題もなかったのだ。 なんてややこしい!!!
それだったら一年前に来た時も入れたのか。
まさかの展開に驚きながらも、一年後に来れるなんてきっと縁がある場所なんだと思った。
今回の目的はこの時期にだけ見られる花、サカイツツジを見ることだった。ガイドブックに咲く紫色の花。本をめくるたび目に入ってはいつも気になっていた、この小さな紫色の花が咲いているなんてきっと美しいに違いない。毎度そう思ってはいたがなかなかチャンスが訪れなかった。
二度目にここへ来たときも、岬と聞いていたのに森のようになっていることに驚いた。その森の中に一本の道が造られている。歩いているとどこか知らない場所を冒険しているようなそんな気分になった。
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一旦木々がなくなったかと思うと遠くには枯れ木が見え、テレビで見た乾季のアフリカのようだと思った。さっきまで森の木々で生い茂っていたのに、いきなりこんな空間が現れるなんて。 ずっと先へ行くと今度は木々がだんだん低くなっている。毎日吹く海からの風と戦っているからだろうか。見れば見るほど、歩けば歩くほどその魅力にハマっていった。
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残念ながら目的のサカイツツジは咲いていなかったが、代わりにミズバショウの花を見ることができた。初めて道東に来たとき、初めてミズバショウの葉を見た。わたしにとっては初めての一人旅を思い出す特別なものだ。それまでは名前しか知らなかったが大きな葉に青々とした葉が印象的だった。ガイドさんに説明してもらったときのことが今でも鮮明に思い出される、思い出深いミズバショウ。いつも北海道には6月に来ることが多く、すでに花は枯れ、葉っぱしか見ることができなかった。特に意識はしていなかったが、やっと出会えたミズバショウの花にとても感動した。
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時期がほんの少し違うだけで見れる景色が変わる。当たり前に過ごしている日々が特別に感じるのはこういうときだと思う。6月にしか来ていなかったらきっとこの景色には出会えなかっただろう。道東を旅するたびに他の季節にも訪れたくなるのは間違いなくそんな季節ごとの魅力があるはずだと確信しているかだ。
だんだん海に近づいてくると、海と同時に灯台が見えた。 海なのか空なのかわからないほど真っ青な色に赤い灯台。さらに先に進み、崖から見た海は相変わらず波が荒かった。
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毎度新たな魅力に気がつく落石岬。
次は何月に訪れようか。