“ラノ・カウ火口湖へは歩いて45分で行けるよ。” ホテルの人はそう話したが、実際はトレッキングのスタート地点までで30分弱かかったので、意外にハードな道のりだった。
道は整備され、ひたすら登ったらいいだけなのだが、海に囲まれたこの島はとても風が強い。車に乗っていく人が多いため道行く人も案外おらず、いくら向かっている先が火口湖とわかっていても1時間の道のりはなかなか長かった。
とは言えここはイースター島内でも一、二を争う絶景スポットだと思う。しかも、絶景は火口湖へ着くまでの道中も含まれているから美しい景色を常に見ながら歩くことができる。道から見える海や島がなんとも美しく、見とれて写真を撮っているうちに何度も帽子が飛ばされてしまった。少し独特の赤っぽい土が白い帽子についてしまったが、それもこの道を楽しんで歩いた証拠かもしれない。空の大きさを感じ太陽の光を十分に味わいながら歩く道のりはとても素晴らしかった。
途中、野生なのか放し飼いにされている牛に出会った。キラキラした牛がなんとも神秘的な魅力を放ち、何か別の世界から来たように感じたのはわたしだけだろうか。森に生えていた木々たちも今までに見たことがない種類だった。
ホテルを出てから一時間半。歩いた先にあった火口湖は普通に撮っても全体が入りきらないほど大きかった。その姿は道で見かけた牛と同じくとても神秘的だった。聞けばイースター島に住む人々もモアイと同じくらい魅力的だと言う。どうしても比較してしまうが、実際南米で訪れた場所は比較ができない場所が多く、この火口湖もそんな素晴らしい場所のひとつだった。
てっぺんからは海も空も島もすべて見ることができる。
道中の疲れを忘れさせる絶景だった。