“この島は本当にいい場所だよ。” イースタ島に住む人からも旅人からも何度も聞いた言葉だ。たいがい一人くらいイマイチだったという人がいるものだが、今のところ自分が経験した初日の最悪な印象が最も悪い評価でそれ以上の話を聞いたことがない。みんなこぞってイースター島はよかったというのだ。
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その魅力はもちろん不思議なモアイやこの島の歴史、南国の穏やかな雰囲気や自然、そして独自の文化を感じれるところなど多岐にわたるが、わたしがいいなと思ったのは夕方の時間の過ごし方だった。
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わたしのお気に入りスポットは海に夕日が沈む場所だった。この時期の日の入りは遅く、夜の8時頃が日没だった。その時間になるとカップルや家族がどこからともなく海辺のほうに集まってくる。
日中は暑くてホテルに戻ることが多かったわたしも、夕日を眺めに毎日でかけていた。海辺のレストランで食事をする人もいれば、わたしのようにベンチで空を眺めている人もいた。ホテルの受付の人も仕事終わりなのか同じ場所でばったり会ったことがある。そんな彼も彼女らしき素敵な女性とベンチに座ってサンセットを眺めていた。
そんなただその時間を楽しむという過ごし方をはたして自分は日常でしているだろうか?夕日がきれいだなあともちろん見ることはある。旅をするときは毎度夕焼けの写真を撮る。けれどその時間を誰かと一緒に過ごし、その時間を大切にする。そんな素敵な日常を送っているイースター島の人々がとても豊かだと思った。
“この島は本当にいい場所だよ。”
そんな彼らの言葉が深く染み渡った瞬間だった。
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そして南国ではよくあることかもしれないが、ときおりちょっとしたスコールがあると人々は気にもせずにそのままその雰囲気を楽しんでいる。雨があがれば虹が現れ毎度自分たちを祝福してくれる、そんな気分にさせてくれることもこの島に惹かれる一つの魅力になっているのかもしれない。
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モアイと夕日を撮るというわたしの一番の夢は果たせなかったが、いつかその夢を叶えるために次は誰かと来れたらいいなと思った。