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執筆者の写真Ayako

新月のウユニへ


ウユニへは新月の日に出発した。

19時発の飛行機で出発したから外は真っ暗。遠くに見えるオレンジ色の街の光が美しかった。

ウユニへは一時間ほどで到着。

空港へ着くと、満天の星が見えた。

飛行機からも美しい星空が見えていたけれど、まさか空港でも見えるなんて思わなかった。

空港から見たあの星空は塩湖から見たときと同じくらい忘れられない瞬間だ。

ホテルへ行くまでの道中、どうしても誰かと共有したい気持ちになった。ホテルへ着き、Wi-Fiが繋がった途端“星が満開だよ!!”ってただそれだけのためにラインしてしまった。

あの時の写真は何も残ってないけれど、脳裏にしっかりと焼き付いている。


ウユニに出発する前、ラ・パスの空港でタクシードライバーとひと悶着あった。

ホテルで予約した空港までのタクシーは60ボリビアーノ。何かあったら困るからとメモの紙まで持って乗ったけれど、それを見せても100ボリビアーノだと言ってゆずらない。

揉めるのが好きではないわたしは、少しだったら毎度払うほうを選ぶ。

タクシーで揉めて怖い思いをするくらいなら、払ったほうがいいと思っているからだ。でも、この時は40ボリビアーノも違ったから、さすがのわたしも引き下がりたくなかった。

スペイン語はわからないけれど、タクシードライバーの声がだんだん大きくなりはじめ、少し怖くなっていた頃、空港の職員が間に入ってくれ助けてくれた。それでもまだ文句を言っていたようだが、助けてくれた方が“あなたの金額が正しいよ。”と言って、やっと解放された時にはだいぶ疲れてしまっていた。

この件で何かトラブルが起こったわけではないけれど、言葉がわからない者同士で揉めるというのはかなり疲れるし、気分は良くない。それに、この一人の印象でボリビアの、特にラパスの印象が悪くなってしまうのだからやはり自分の中にはモヤモヤした気持ちが残ってしまった。ネットで検索すると、治安の悪さがすぐに出てくるのもきっとこんなことがあるからだろう。

いいことをしたほうが評判は良くなると思うし、タクシーの利用者も増えるだろうから、どうしてこんなことをするのかわたしには理解できなかった。


ラパスの空港は世界一標高が高い空港らしい。

とても新しい空港だが人はまばらだった。



飛行機が大好きなので、南米のエアラインの見るとそのたびに興奮した。

そんなことがあり、ウユニの空港へ着いてからタクシーに乗るにも不安があったが、はじめに言われた15ボリビアーノでホテルへ着くことができた。わかりやすいようにと、駅構内のホテルを予約したおかげで、迷わずチェックインすることができたのも、安心したひとつの要因かもしれない。あの件でボリビアの印象が少し悪くなってしまっていたが、その印象は自分の中に残さないでおこうと決めた。先入観を持ち続けるのは安全対策にはいい時もあるけれど、旅の途中の人との交流を寂しいものにさせる気がした。


ラパスはほとんど歩かずにごはんだけを食べた。一ヶ月の旅で唯一傘が必要なくらい雨が降った日だった。タクシーは嫌な思い出になってしまったけれど、車内で聞いたラジオがとても印象深く残っている。この日のサッカーの対戦相手はペルー。ラジオの中から怒号と言っても過言ではないほどの大声が聞こえた。ボリビアが勝った瞬間だった。空港へ向かう最後の坂道で遠くに虹が見えた。サッカーで勝利したチームを称えていたのだろうか。

この混とんとした街にいつかまた戻ってこれたらいいな。


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