ラ・パスはバスターミナルではなく、道の途中で停まった。
坂道になっているので降りる場所も例外ではなく急な坂道である。
バックパックにカメラのバッグ、そしてスーツケースとかなり重い荷物を持ち歩いているわたしにはきつかった。
そうこうしているうちに知り合ったフランス人男性がやってきた。
彼は予想していた通り、バスが停車した場所からホテルが近かったらしく、一緒に歩いているとすぐにたどりついた。
“ここでバイバイか~。短かったけれど、こういう出会いを一期一会と言うんだなぁ。”
そんな風に思いながらお別れしようとすると、スーツケースをひっぱりわたしが泊まるホテルまで持って行ってくれると言う。
彼は彼で彼の荷物があるのに、わたしの荷物があまりにも重いので心配してくれたようだ。
私が泊まるホテルまで着くと、気を付けてねと静かに去っていった。
南米で荷物を持ってもらったのは一度や二度ではない。
はじめ、わたしの荷物が重いからだと思っていたが、きっと違うのだと旅の途中気づいた。
重くても軽くても、彼らの親切心がそうさせたのだろう。
こういう機会を持つたびに、少しの親切がどれだけ人の心を温かくさせるのだろうと思った。
ほんの少しの時間交わった人達。こうした親切もあって、安全に旅をすることができている。決して一人旅は“ひとり”ではなくたくさんの人に支えてもらっているもの。温かい人たちとの一期一会があってこそ。だから一期一会という言葉がわたしは好きだ。
本当に些細な、時には1分にも満たない様々な出会いに助けられてきたのだから。
これは何にも代えがたい旅の瞬間だと思う。
南米に行く前、たくさんの人が道中を心配してくれた。旅の途中もわたしのことを気にかけてくれたり、心配事があり連絡すると安心させてくれた。
色んな人の“応援してるよ。”“気を付けてね”“また話を聞かせてね”“写真楽しみにしてるね!”そういうひとつひとつの愛情は目には見えないけれど、どんなものよりもわたしを元気づけ、励ましてくれるパワーなんだと感じた。相手にはそんな意識はないのだろうけど、その言葉たちにとても助けられた。
人と人が関わって話をしたり、気持ちが交わることで心の中の何かが動き、揺さぶられる。自分の中に何かが加わらないとそれは生まれない。だから“感情”ってとっても特別、何もなかったら何も思わないのだから。
フランス人の彼とは名前も聞かずにお別れした。ラ・パスの治安を気にするのを忘れるほどやさしい時間だった。喧噪という言葉がぴったりのラ・パス。やっとここまで来たという思いだった。ウユニ塩湖まではあともう少しだ。