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執筆者の写真Ayako

コパカバーナからラ・パスへ


湖を見下ろせる丘のような高い場所を高速で走る。

窓の外を見たり、書けていなかった日記を書きながらふと思う。

こんな大自然が日本にあったらとっくに観光地になっているんじゃないか?

ペルーにいるときからすでに思っていたが、どこを切り取っても美しい光景は誰も人気がなく、静かだった。


船着き場に着くと、バスから一旦全員が降りる。

聞いてはいたが、チチカカ湖を船で渡るらしい。

2ボリビアーナでチケットを買い、船に乗る。

“バランスを取るためにみんな座りなさい。同じ場所に立っていては危ないわよ。”

地元のおばあちゃんがみんなにそう言った途端船は大きく揺れ始めた。

窓には波が覆い被さり、とても湖を渡っているとは思えない。

船内では、先ほどのおばあちゃんが波が大きいと船が沈没したこともあるなんて言うので余計怖くなる。バスはまだまだ岸におり、どうやら別の専用の船に乗るらしい。これも沈没する可能性があるからということだった。わざわざ一旦バスから降り、人だけで船に乗るのは危険と隣り合わせだからだろう。








船から降りて再びフランス人男性と話をした。

”英語が下手でごめんね。”

私よりも上手な英語でそんな風に言ってくれる優しさが彼の性格を表しているように思った。

ところで、旅中によくある質問の一つが“どこの国から来たの?”というもの。

彼は私に会った瞬間“日本人??”と聞いた。

その時、日本人とすぐにわかってくれたのが単純に嬉しかった。しかし、だからと言って、今まで違う国の人に間違われて嫌だったかと言えばそうではない。日本人から見てもアジアの人は見分けがつかないし、それを違う国の人が見れば世界中のどの国から来たかなんてわからないと思っているからだ。けれど、今回嬉しいと思ったということは、自分の中に“わたしは日本人だ。”という感覚が意識せずともあるのだと知った。

なかなかバスがやって来ないので不安に思っていると、どれが自分のバスだかわからなくなる。こういう時、知っている人がいると心強い。さっき会ったばかりの人に心を開く瞬間はこんな時だろう。やっとバスが来た時、人が湖を渡ってから20分ほど時間が経っていた。再びバスに乗り込むと、ラ・パスへ向けて高速で走りだした。


忘れがちだがチチカカ湖からラパスへ向かう道もずっと標高が高い。そのせいかわからないが、天気が恐ろしいくらいに変わった。

強風、雷、豪雨。

さっきまで平だった道がアッと言う間に水たまりになる。

塗装されていない道。足を取られそうなほどドロドロの道が延々に続く。平穏な時間を過ごしていたが、窓越しにこの光景を目の前にすると、やはり自分は異国にいるのだと実感した。

ラ・パスに近づくにつれ、人々の活気が伝わってくる。

市場のような場所に工事現場のような場所。どれもミックスしたような、とても騒がしい場所だ。バスから見ているだけではそれが何なのかはっきりとわからなかったけれど、どんどん人が溢れてきた。

山高帽子にチョリータと呼ばれる伝統衣装をまとったボリビアの女性たちも見える。

慌ただしさがコパカバーナとは全く違った世界だ。いよいよラ・パスと思っていると、すり鉢状の世界が見えた。



ここが世界一標高が高い首都と言われるラ・パス※1。ペルー・プーノを出発してから10時間半が経っていた。

(※1 憲法上の首都はスクレ。ラパスが実質上の首都と言われている。)


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