石の上に寝転がっている少女がいた。
まだ小学校低学年くらい。
すこし平べったい石の上に、どろ~んと寝転んで
空がきれい。
と、見つめていた。
彼女のお父さんはその姿をいとおしそうに眺め写真を撮っている。
彼女のただ寝転んでいる姿を見て、私がしたいことはたったひとつ、こんなことなのかもしれないと思った。

何度も来ている硫黄山のつつじヶ原を見るのは初めてだった。季節が違えば景色が変わる。景色が違えば感じ方も変わる。そんな風に思う。
けれど今回硫黄山を見た瞬間、なぜだか涙が出るほどこの場所が好きなのだと思った。はじめて見た景色だからではない。言葉にはできない、なんとも言えない心情で懐かしさみたいなものがこみ上げてきたのだ。


少女が寝転んでいたのは、そんな硫黄山のふもとにあるつつじヶ原を抜けていく途中で、思わず帰り際に同じ石に寝転がってみた。
けれど、実際の石は私には小さく結局断念することになった。
あそこに寝転んで見る空はどれだけキレイだったろう。

空を見るという単純なことでさえ、たまに忘れてしまうことがある。自分が何をすれば自分を満足にさせてあげられるのか。
それは遠くを旅し新しいものを見ることではなく、いつもとは少し違う視線で空を眺めるみたいなそんな単純なことなのかもしれなかった。

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